湧き水が造る美味いもの
酒と和菓子と味噌醤油(含む,私的好み情報もあることをご容赦!)
山深きが故にもたらす豊富な湧き水が伝統的な「美味いもの」をこの地に残している。
にも関わらず、商いが地味?なためか中々メジャーになりきれないものもある。物によっては手作業100%に近い伝統地場産業であるため、キャパシテイーからしても難しいかなとの思いはあるが、それだけにもっと前に出す機会と場所を設け、松本ならではの伝統的産品として来松者に広めたいもの。
日本酒
地酒の銘柄を思い浮かべれば、岩波・善哉・亀の世・笹の誉・菊水等など、耳に慣れ喉越しに慣れた名が出てくる。梓川水系・薄川水系・奈良井川水系の豊富な伏流水を使うのだから、美味くないはずがない。しかも、どっしりとした「信州松本の味」を頑なに守っている。それはまた、ここの厳しい気候に合ったものであり、この地の献立に合うものである。
昨今軽めのサラッとした日本酒が好まれ、また醸造方法変わり、酒粕もでないくらい米を使い切った上でのものも出てきているが、松本の酒は相変わらずどっしりとしている。
従って、熱燗でも・ぬる燗でも・冷やでも、決して腰の折れることは無いし、しっかりした中味にも関わらず、べらぼうな値段のものはない。
先にラベルを呑んで後から味を確かめる振りをして自分を納得させるような酒ではないから、気を落ち着けて味わえる。そこが、地酒の美味さ・親しみ易さである。
ワイン
山辺地区にワイナリーがある。ここは名の知れた美味しいぶどうの特産地であり、そのぶどうを使ったワインが美味しくないはずはないが、何せ開業からの日も浅いこともあり、知名度を上げるのはこれからだし、味を育てるのは皆の舌である。
結構な品揃えで全品試飲可であるから、自分の好みに合わせて選べる。但し、酒気帯び運転にならないようにすることは、言うまでもない。
* 波田町赤松地籍に深沢酒店がある。ここの奥さんはお酒のソムリエで、好みに合わせて銘
柄を紹介してくれるし、料理に合う酒も選んでくれる。また、好みに合わせつつ予算にも合うよ
うにしてくれる。女性ならではの繊細な心遣いの中で選んでくれるので、未だかって的が外れ
たことはない。
味噌醤油
一部の醸造所を除いては、家内工業的な醸造元である。そこがいいところだし、面白い!
昨今は、水・米は勿論だが大豆も地場産のものを使った製品が出てきており、昔々の松本味噌・松本醤油復活の感がある。
味噌も、スーパーマーケットでのパック買いが増え、勢いパイプラインを走らせた工業製品が棚を埋めるようになっている。それはそれで良いのだが、家内工業的な醸造元の製品には、その醸造元ならではの伝統的な味と香りがある。過って、隣近所が共同して味噌作りをしても、いざ食べる段階になると夫々の家の味になっていたのと同じことである。
土産店等でも手に入るが、是非ラベルで松本市内の製造を確かめて購入されたい。
里山辺にある大久保醸造店に行くと、味噌にしろ醤油にしろ、この店ならではの製造に関わる思いを聞きながら買うことが出来る。
漬物
味噌・醤油が出たから漬物にも触れておきたい。
漬物の信州だから、松本にも沢山の漬物製造店がある。味噌漬け・醤油漬け・粕漬けと品揃えは豊富だから、漬物材料や漬け方をみながら自分の好みに合わせて選ぶといい。
高山へいくと、同じ赤かぶ漬けでも随分味の違う漬け方をして売っている。これは、意外であり参考になった。また、やまごぼう漬けも、やまごぼうの味をしっかりのこしながら守口漬けを連想させるような味で大変美味しかった。
松本の漬物屋さんも、例えば味噌漬けといっても、そのまま信州味噌に漬け込むものばかりでなく、甘辛に差をつけたりダシを効かせたりするのも今風の食卓に合っていいのではないかとおもう。野菜が豊富で美味いし味噌・醤油・粕も手元にあるのだから、是非工夫を続けていって欲しい。わさび漬けも信州ならでは味をだしているが、これは夫々の店で随分違う。試食をしてから購入されることをお勧めする。
ちなみに、新町にある「八百源」のわさび漬けは、遠方に居る我親族とその交友先から松本みやげのリクエストNO1である。
和菓子
松本が和菓子(飴・餡・練り・焼き)の名だたる産地であることが、或いは段々忘れ去られているかもしれない。それは、甘いものが生活から遠のくようになり、一方で洋菓子の伸張に押されてのことだろうか。兎に角、街中に在った和菓子屋さんがいつの間にか姿を消していることもある。
そんな中で、開運堂や翁堂はさて置き、昔からの馴染みある和菓子屋さん・甘味屋さんを紹介してみたい。いずれも、松本の味・甘味であるから。
「磯村」という屋号は和菓子屋さんの屋号か暖簾分けの結果か、街中に何軒もあったように思う。ホテル花月前の「東門磯村」は、店の構えどおり“由緒ある松本の和菓子屋”さんで、それと分かる品々が並んでいる。「きんつば」は楽しみに食べた逸品である。本庄通りから天神に抜けるすぐ右手にも「磯村」がある。
大名町の桃太郎の「お城最中」、新町梅月の「梅園」も土産に喜ばれた。
上土町から入ったところの「甘味塩川喫茶部」、緑町の澤田庵の「三色餅」、隣にあるスギヤの「アイスキャンデイー」、縄手通り三松屋の「やきいも」も、懐かしい松本の甘味である。
飴は新橋の「新橋飴」と今町の「飯田屋飴店」が昔ながらの品を揃えている。
「新橋飴」は麦芽糖を真っ白くなるまで練りに練ったもので、板状のものと丸めたものとがある。板状の飴を割って食べる楽しさ・柔らかな甘さは忘れがたいし、色々の味が楽しめる丸め物もいい。板状の白玉飴?は、他にない珍しい松本土産としても良いものである。
洋菓子も、沢山のところが独自色を出して出店している。此処にも、風土としての菓子づくりの伝統めいたものが生かされている気がする。
南新町の「ミシェル」はフランス人オーナーが手作りしていて他の店と一線を画している。また辰巳御殿跡の「OHKURA]はチーズケーキ専門の店で、ここも良い味を提供している。職人気質で頑張っている正直なこういう店は、つい人情で応援したくなる。
今週末松本に行きます!
ガイドブックにはない、地元愛あふれる情報をありがとうございます。
私は和菓子に目がないものですから、開運堂以外のお店も教えていただいて、助かります。
by 通りすがり。 (2010-04-02 22:45)