商いは飽きない。誰が?
広域松本圏で考える
この三日間、音楽・学問・山岳の「3ガク」にこじつけてきた。今回の締めは、3ガクに「商」を加えて広域松本圏を考える。
松本市内の商店街といっても、今や本町・伊勢町・中町・高砂通り・駅前通り付近・大名町くらいになってしまった。通り通りにあった「商店街」は姿を消し、僅かに個人商店が残っているところもあるが、それにしても、商都との昔の面影は無いに等しい。
「こういう現象は全国的なもので、何も松本だけではないわ!」といわれればそのとおりで、共通する原因もあげられている。
しかし松本は松本で、自分の足元を見つめるべきこともあるのではないか。
いかに山紫水明に国宝松本城が加わろうとも、商店街の灯が消えたら賑わいのある故郷でなくなるし、夜間の紅灯ではこの代わりは務まらないのだから。
1.物流に時間と距離は関係なくなってきている。
過って松本は、入り馬・出馬千駄と唄われるほどの商いをしていた。当時は、物の流通に大き
な時間と距離が伴っていたから、中継基地の役割は大きく、またあらゆる商品提供の場も不可
欠だった。
しかし、交通の便が良くなってまず時間差が縮まり、個々が交通手段を持って距離を縮め、幾
つかの媒体が流通手段を提供するようになると、「入り馬・出馬千駄」の感覚のままで店を開い
ていては、あまりにも消費者の欲求とは掛離れた存在になってしまう。
昔からの店だから、「お客は来るもの」・「来たお客には売ってやる」の雰囲気が伝わってくるよ
うでは駄目だ。
「わざわざ我店にお越し頂きまことにありがとうございます。どうぞごゆっくりご覧ください。な
お、お手伝いさせて頂きますので何なりとご用命ください。
お気に召していただけましたでしょうか。もし何かございましたら、恐れ入りますがご一報くだ
さい。ありがとうございました。どうぞお気をつけて。」くらいの、「感謝とおもてなし」の心で店を
開いていないと。
7年程前のことである。少しまとめて生活雑器を買ったので価格交渉をしたら、10%引いてく
れた。カードで支払おうとしたら、それなら5%だという。これには参った。以後行っていない。
加えて品揃えでは、「地元の生産物」・「訳ある商品」・「都会にある商品」・「我店ならではの
商品」のいずれかが見て取れないと、お客の足は止まらない。
6千円払えば新宿にいける。電話でFAXでクリックで商品が届く。
2.孤立していては力にならない。
中町がいい例だ。ひとつのエリアとして街づくりをしたから人が集まる。本町・伊勢町は「モダ
ン」に走るのか、大名町は「昔造り」に進むのか。いずれにしても、共同参画して「街で買い物が
楽しめる街づくり」をしないと、老舗だけで通用する世代は消えつつあるし、そこに在るだけの店
では、客は通行人で過ぎていく。
「商いは飽きない」だというが、これは内向けのことであり、「飽きさせない」が外向けの姿勢で
はないか。
3.広域松本圏
同様のことは近隣の市町村にもあることなので、商工会議所・JA・行政の関係者が集まって、
よくよく話しをしてみるといい。(大町市から塩尻市まで)
所詮、この地域の消費人口は30~40万人くらいのもので、今後大幅に増えるとも思えない。
そこでまず、
自地の消費者の目はどの方向を向いているのか。どういう行動をとっているのか。
地元で購入するものは何か。運賃をかけても出かけていって購入するものは何か。
今後予想される消費行動はどうか。
を分析し、その上に立って、外からの誘客に策を転じないと先細りは目に見えている。
松本がこの地域の中心であった、またあることは間違いない。しかし、今や東西南北軒が繋
がり、地域分断要因の川も問題にはならない。
「商店街」といえば狭いエリアであるが、これひとつをとっても広い地域の中で生かされてい
る。まして、この地域にひとが集まる・集めるということは、産業・文化をひっくるめて魅力あるも
のにしないと、ここだけの人口では持たせきれない。
それには、地域分業もあるだろうし地域分担もありだろう。是非、広い視野で考えてもらいた
い。その際排除すべきは、小さくは商店主の、大きくは行政単位の「エゴ」だろうな。
4.市長に対する期待大
深沢・和合・有賀と3代の市長の地ならしを経て、菅谷市長を迎えた。
深沢・有賀市長とは、よくよく話しをさせて頂く機会も得ていた。有賀市長が市行政に民間感覚
を導入した時には喝采をしたものだ。
感じるに、菅谷市長は特に「創造的バランス感覚」に優れた方だ。(以前のページにも載せた)
私は、市行政のみならず、この地域のリーダーとして大きな期待を寄せているし、出来るバック
アップは何でもしたいと思っている。(そんな力もありませんが、せめて気持ちだけでも)
上田市の市長との美ヶ原対談は、市民に市の在る位置関係を改めて認識させるヒットであっ
た。こうした多角的・立体的視野で、街の在り方から広域圏の活性化までタクトを振ってほしい。
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